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弘前市緑の相談所
弘前市下白銀町1−1
昭和55年(1980年)竣工
延べ面積868㎡
RC造2階建
建築面積941㎡
75歳弘前公園の東側の入り口近くに位置し、春には2600本が咲き誇る桜や松、紅葉の樹木に囲まれ、溶け込むように建っている。L字型の建物で、中庭にある日本一の幹回りのソメイヨシノを取り囲むようにアーケード・ロビー・2層に吹き抜けた展示室・集会講議室・事務室が配置されている。四角い近代建築の箱形ではなく、前川建築では珍しい大胆な銅板の片流れの大屋根で覆われている。外観は、周辺の木々の高さを考慮し、高さを押さえ、茶色の西洋的な打ち込みタイルの外壁と和風の勾配屋根とが対象的である。建物の前と後ろで、全く印象が違うので是非見比べて欲しい。桜の名所弘前公園の自然環境に充分に配慮し、建築に当たり一本の木も切らなかったと前川事務所の担当者は誇らしげに話してくれた。その桜の木は、今でも中庭で、大きく自由に枝をはらせ、見るものを楽しませてくれる。
地域の緑化に関わる相談・指導・展示等を目的とする緑の相談所だが、一日この建物にいると、西側から入り込む光の織りなす変化がすばらしく、ここがその拠点となるに相応しい場所と納得できる。市民や弘前公園を訪れる人たちが足を止めて、自然に触れ、もっともっと楽しんで欲しいスポットである。