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弘前中央高校講堂
弘前市蔵主町7-1
昭和29年(1954年)竣工
延べ面積 873㎡
RC造2階建
建築面積 605㎡
49歳弘前公園の東側に隣接し、現在は共学となったが、長い間女子校として知られた弘前中央高校の創立50周年記念事業として建築された。前川への依頼は、木村産業研究所の木村隆三の兄、木村新吾がPTA会長をしていたことがきっかけとなる。
校門を入ると、その軸線上に建物の正面が配置されている。全面がスチールサッシのガラス張りの正面からは、中のホワイエを見通すことが出来る。ホワイエは2階座席の階段状の構造がそのまま天井面に露出しており、白い壁と階段の手すりの黒のコントラストが、シャープな美しさをみせている。両側面は傾斜する大きなガラス面で、ホール全体に外からの光が溢れんばかりに差し込む。館内には、微妙なカーブを持った折りたたみ式の座席が緩やかなスロープで舞台まで続く。白を基調とする内部やフレンチブルーに塗られた鋼板の外壁、軒裏の赤色など随所に色彩的工夫がなされている。座席は2階も含め、806席。座席の老朽化により痛んだ背板を一人の会員の提案により、我が会が補修することとなる。
2004年10月から2006年10月ま で、丸2年計26回にわたり沢山の市民ボランティアと当会員の手により、806席の椅子は新しく甦った。
せっかく補修完成した講堂で何か建築の催事をいうことで、建築フォーラムを開催した。この建築フォーラムに、当時の担当者、鬼頭梓氏にパネラーとして参加いただけたのは、偶然とはいえ嬉しいハプニングだった。
後年、全国各地に設計される音楽ホールのさきがけとなる建物である。高校の講堂が音楽ホールなんて、当時の中央高校の生徒はどんなにこの建物を誇らしく思っただろう。